イラストレーターのクリッピングマスクとはオブジェクトや写真などをトリミング(切り抜き)する機能で大変よく使います。今、目にするカタログ、チラシなどでクリッピングマスクを使っていないデザインはほとんどないかと思います。
そのぐらいよく使う機能なのでしっかり覚えたいですね。この記事では基本的なクリッピングマスクの使い方とマスクをする時の注意点、クリッピングマスクを使った簡単な応用について解説します。
Contents
クリッピングマスクとは?
オブジェクトや写真を円や四角などのオブジェクトでトリミングする機能です。左はオブジェクトを円でトリミングしたもので、右は写真をトリミングしたものです。

広告でこのような処理はよく見かけますよね。ほとんどクリッピングマスクで処理されています。
クリッピングマスクの基本
クリッピングマスクのやり方
では作り方ですが、
マスクされるイラスト(または写真)とマスクしたい図形を用意します。マスクしたい図形の円は必ずイラストより前面になるように重ねてください。


右のように円がイラストより下にあるとマスクはできません。
イラストと円の両方を選択してオブジェクト>クリッピングマスク>作成
または
macなら command+7
winなら control+7でマスクができます。
ここで重要な点は必ずマスクしたい図形がイラストよりも上にあることです。ここを間違えるとマスクされなかったり、変なところがマスクされたりします。
もしクリッピングマスクができないようでしたらちゃんとマスクしたい図形が上にあるか、または両方とも選択して実行しているかを確認してください。
もちろんマスクしたい図形は四角でも星でも鉛筆ツールで描いた図形でも大丈夫!
マスクする図形の色は付いていても、いなくても問題ありません。また、不透明度もマスクにには影響しません。
クリッピングマスクの解除
クリッピングマスクの解除方法はまず、マスクしたものを選択します。この時かならず選択ツールの黒矢印(選択ツール)で選択します。(表示はマスクの図形しか選択されていませんが大丈夫です。)
オブジェクト選択してオブジェクト>クリッピングマスク>解除
または
macなら command+option+7
winなら control+alt+7でマスクが解除できます。
クリッピングマスクの編集
クリッピングマスクをした後でもオブジェクトの編集が可能です。
マスクの変形・拡大縮小
マスクの変形
「ダイレクト選択ツール」でマスクを変形することができます。


マスクの拡大・縮小
「ダイレクト選択ツール」の中に「グループ選択ツール」があります。「グループ選択ツール」でマスクを選択して拡大縮小すると、マスクの窓のみが変更できます。


イラストを編集する場合
マスク内のイラストを変更する場合はマスクをしたオブジェクトを「選択ツール」(黒の矢印)でダブルクリックします。
ダブルクリックするとマスク内の編集モード(グループ編集モード)になり、マスク内のオブジェクトを変更することが可能になります。
ここでオブジェクトの色を変えたり変形したり、オブジェクトの追加、削除などの作業が出来ます。
下の画像のように階層が表示されます。(緑枠)
編集が終わった後はアートボードをダブルクリックすると「グループ編集モード」から通常の状態に戻ります。

画面左上にレイヤーの階層が表示されます。通常は何も表示されていませんが、ダブルクリックすことでマスクの中の階層に入り作業ができる状態になります。この時はこのマスク以外の他のオブジェクトはグレーアウト状態になり、何もできません。
作業が終わった後、オブジェクトのない余白部分をダブルクリックすると通常の状態に戻ります。必ず左上の階層の表示がなくなってから他の作業をしてください。
複数のクリッピングマスク
ここでは複数のオブジェクトにマスクをする方法を解説します。たとえは下の図のような感じです。普通にマスクするだけではこのような複数のマスクを作ることは出来ません。

複数のマスクを複合パスにしてからクリッピングマスクを作成します。
マスクをしたいオブジェクトを全て選択して
オブジェクト>複合パス>作成
上の写真ではマゼンタの円を全て選択し、「複合パス」にします。今作った複合パスと写真を選択してクリッピングマスクを実行します。
こうすることで複数のマスクをかけられます。
テキストで写真・オブジェクトをマスクする
テキストでも同じようにマスクをすることができます。(アウトラインはしなくてOK)テキストデータなのでフォントの変更も可能ですのでデザインがさらに広がりますね。しかも簡単!
マスクの境界線をぼかす方法
マスクの境界線をぼかすことができます。

マスクしたオブジェクトを選択して
効果>スタイライズ>ぼかし ぼかしのポップアップが出ます。プレビューをチェックしてぼかし具合をみながら調整します。OKを押すと境界線をぼかす効果が出来上がります。
スタイライズはオブジェクトの周りをぼかす機能です。詳しくは下の記事を参考にどうぞ。

マスクしたオブジェクトに影を付ける
マスクしたオブジェクトに影を付けるとよりデザインが広がります。マスクしたオブジェクトを選択して効果>スタイライズ>ドロップシャドウで下のような表現になります。


左はドロップシャドウのみ右は白矢印+でマスクの円を選択して白の線をつけたものです。マスクをした後にマスクに色をつけられますので表現は工夫次第でいろいろ広がります。
クリッピングマスクの注意点と確認事項
クリッピングマスクが出来ない!ときはまずトリミングしたいオブジェクトがマスクされるオブジェクトの上にあるかを確認してください。またはグループ化されている一部を選択してマスクをしても出来ません。
クリッピングマスクしたオブジェクトに、さらにクリッピングマスクをすることは可能です。
同じレイヤーではなくてもマスクは可能ですが、トリミングしたいオブジェクトのレイヤーにマスクされたオブジェクトは移動します。当然トリミングしたいオブジェクトはマスクされるオブジェクトより上にあるレイヤーでないとできませんよ。
マスクする図形は不透明度が何%でも仕上がりに変わりはありません。なので図形を50%ぐらいの不透明度にすればマスクしたい部分がよくわかり作業しやすいですよ。
クリッピングマスクのまとめ
どうでしょうか。簡単でしょ。ただたまにクリッピングマスクが出来ない!なんてことが出てくると思いますが、そんな時はうえの注意点を確認してください。結構グループ化が邪魔して出来ないことがあります。
マスクが出来ない場合はグループ化を疑って見るのが早いかもしれません。
マスクにはもう一つ【不透明マスク】があります。これは別のページで説明しますが、もう少し複雑でグラデーションやぼかしのマスクをかける方法です。

とりあえずここではしっかりクリッピングマスクをマスターしましょう!
お役に立てれば幸いです。