今回はイラストレーターの背景が透過の表示方法と背景が透過になった画像データを書き出す方法を紹介します。
クリッピングマスクで切り抜いたデータも背景が透明な画像に書き出せます。
イラストレーターの背景を透明表示にする方法
透過の表示状態
イラストレーターでは通常白いアートボードが表示されていますが、データ上では色がついていない透過の状態です。
作業上、白い背景の方がレイアウトがやりやすいため、白く表示されていますが白色がついているわけではありません。

透過表示の状態での透明部分はグレーの格子模様で表示されます。
上の画像は、通常状態(デフォルト)と透過表示にしたものです。どちらも同じデータになります。
では背景を透過の状態でプレビューする方法を紹介します。
背景を透明表示にする方法

- 上のメニューから「表示」→「透明グリッドを表示」を選択します。
- 背景が透明になりました。
透過と白の違い

上の画像の上下の松のアイコンは、背景が白色だと同じように見えますがデータの作り方が違います。
- 上の松のアイコンは緑のベースに白い楕円のオブジェクトを乗せたもの
- 下の松のアイコンは「複合パス」を適用して緑のベースに楕円の穴を開けたものです。
「複合パス」にした下のオブジェクトは透過表示にするとちゃんと穴が空いていることがわかります。
オブジェクトがない部分やオブジェクトがあっても、塗りや線に色指定がない場合はデータ上では透明の扱いになります。
アートボードは作業の効率上、白い色がついています。

透過表示は主にデータの確認のために使うんだな。
オブジェクトに穴を開ける方法はこちらです。
≫【イラレ】オブジェクトに穴を開ける方法!複合パス・パスファインダー
透明表示を白背景に戻す方法
上のメニューから「表示」→「透明グリッドを隠す」を選択すると、元のアートボードに戻ります。
この機能は背景を透明に画像を書き出すときの確認用で使うことが多いです。
画像を書き出して、背景が透明にならない場合は、「透明グリッド」を表示してデータを確認するとよいでしょう。
Illustratorから背景が透明の画像データを書き出す方法
イラレから背景が透過状態の画像形式は3つの書き出し形式があります。
- Photoshop(psd)形式:Photoshopでの後加工がある場合など(データが重い)
- PNG形式:PPTなどOfficeで配置したい場合
- EMF形式:PPTなどOfficeで配置したい場合 配置後加工が可能
それぞれ用途が変わってきますので欲しいデータに合わせて書き出しをしてください。
Photoshop(psd)形式で書き出す
Photoshop(psd)形式で書き出す場合は以下の用途でよく使われます。
- 印刷物に使う場合
- 綺麗に書き出したい場合
- Photoshopで加工したい場合
きれいに書き出せますが、データは重くなります。
Photoshop(psd)形式で書き出す手順


- 画像に書き出すイラストレーターデータを用意します。
注意:表示されているオブジェクトが全て書き出されます。(アートボード以外のオブジェクトも含めて書き出されます)


- 上のメニューから「ファイル」→「書き出し」→「書き出し形式」を選択します。


- 「書き出し」のダイアログボックスが表示されます。
以下の項目を指定します。
- ファイル名
- 保存先
- ファイル形式
ここではファイル形式を「Photoshop(psd)」に選択します
ファイル形式について
ファイル形式は以下の形式で保存が可能です。ここでは「Photoshop(psd)」で保存します。
Officeに配置する画像の場合はjpg,png,emfなどで書き出します。この後紹介します。


- 「書き出し」ボタンをクリックします。


- 「Photoshop書き出しオプション」が表示されます。
カラーモード
RGBとCMYKの選択。印刷に使用する場合はCMYKにします。
●解像度:印刷に使用する場合は「その他」360ppiにします。「その他」はppiの数値入力が可能です。それ以外の資料的に使う場合は「標準の150ppi」でOKです。


オプション
イラストレーターのデータがレイヤーで分かれている場合、「レイヤー保持」にチェックを入れると書き出したpsdデータもレイヤーで分かれた状態になります。
- 統合画像:イラストレーターでのレイヤーが統合されて書き出されます。
- レイヤー保持:イラストレーターでのレイヤーを保ったまま、Photoshopデータに書き出されます。
「レイヤー保持」について
「レイヤー保持」はクリッピングマスクしたデータもマスクデータを保持して書き出されます。
ただし、データが複雑な場合は一部統合されて書き出される場合があります。
- クリッピングマスクのやり方の記事も参考にどうぞ。
≫イラレのクリッピングマスクのやり方とマスクができない原因。



Photoshop上で加工する場合は、レイヤー保持がおすすめ
アンチエイリアス


文字のアンチエイリアスの設定です。綺麗に出したい場合は「アートに最適(スーパーサンプリング)」を選択します。
- OKをクリックすると、書き出しが完了します。
解像度がよくわからないという方はこちらをどうぞ。
≫【Photoshop】画像の解像度やピクセル数の確認と変更方法
書き出しの注意点
書き出しはデータ内の表示されている全てのオブジェクトを書き出します。アートボードの外のオブジェクトも含めてです。
書き出したいオブジェクトが一部の場合は、レイヤーで分けて、書き出したいものだけ表示させて書き出します。
オブジェクトのみ書き出される


書き出される画像データはオブジェクト部分のみとなります。
イラストレーターのレイヤーの詳しい記事はこちらです。
≫【イラレ】レイヤーの使い方!移動・追加・削除・統合をわかりやすく解説
Office用に背景が透明の画像データをPNG・EMFで書き出す
Officeに配置するなどに書き出す場合はPNG・EMFが適しています。
また、資料作成などの場合もこの書き出し形式がよいです。
EMF 【Enhance Metafile(emf)】 で書き出す手順
- 上のメニューから「ファイル」→「書き出し」→「書き出し形式」を選択します。
- 「書き出し」のダイアログボックスの「書き出し形式」をEnhance Metafile(emf)を選択します。


- 「書き出し」をクリックします。
- EMFの場合はそのまま保存されます。
PNGの書き出す場合
- 上のメニューから「ファイル」→「書き出し」→「書き出し形式」を選択します。


- 「書き出し」のダイアログボックスの「書き出し形式」をPNG(png)を選択します。
- 「PNG」オプションが表示されます。


●解像度:標準の150ppiでOKです。
●アンチエイリアス:文字のアンチエイリアスの設定です。綺麗に出したい場合は「アートに最適(スーパーサンプリング)」を選択します。
●インターレース:表示方法の設定になります。チェックを入れると多少データが重くなるので、チェックなしでOKです。
●背景色:背景色の選択です。透明にする場合は、「透明」を選びます。


- OKをクリックすると、PNGデータで書き出されます。
書き出しても透過にならない原因
書き出ししても透過にならない原因次の2つが考えられます。
- 背景色を透明にしていない
- 白いオブジェクトは配置されている
背景色を透明にしていない
PNGオプションパネルで背景色を透明に指定しているか確認しましょう。




白いオブジェクトは配置されている
アートボード上に白いオブジェクトがある場合も背景は透明になりません。
オブジェクトがないか確認しましょう。
また、先程紹介した、背景を透過表示にする方法で、確認するのもよいでしょう。


jpgは透過にならない
jpgに書き出しでは背景は透過になりません。
jpgの利点はデータが軽いことです。背景が白でも問題がなければjpgがおすすめです。
「書き出し」のダイアログボックスで「書き出し形式」をjpgに指定するとjpg形式で書き出されます。
まとめ
背景を透明に書き出す方法でした。
pdfで書き出した場合でも、イラレに配置すると背景が透過状態で配置されます。
背景が透過にならない場合は、「透明グリッドを表示」で確認してみてください。意外に背景に白いオブジェクトがあったりします。
参考になったら幸いです。
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